事務局便り

もりやたかし惜敗を噛みしめ 産別運動の原点に立ち戻ろう

<東日本大震災を風化させない>

8月3~4日 磐梯熱海で私鉄総連83回定期大会


  私鉄総連は8月3~4日、福島県郡山市・郡山ユラックス熱海で第83回定期大会を開いた。磐梯熱海での大会開催は、「東日本大震災を風化させない」との意思表示でもある。

  開会冒頭で藤井一也中央執行委員長(写真)は、7月の参院選挙で、もりやたかしを当選させられなかったことを先ず詫びた。東奔西走する候補者本人にのみ頼り、組合役員が先行し、組合員一人ひとりへの記名投票を徹底できなかったこと(7月11日・中執見解)の後悔の念を表したものだ。

  もりやの得票数10万2208票は、私鉄登録組合員数を上回ったものの、民進党比例区では15位(当選者11名)であった。
  選挙総括は、12月開催の第1回中央委員会での提案となるが、次回への再挑戦なくして、私鉄組織の存在価値はないといえる。
「やればできる」「やらねばならない」との思いは、私鉄を卒業した退職者の多くの声に違いない。

 次いで登壇した神津里季生連合会長は、
「今回の参院選の結果について、民進党は<ホッとした>との見解を示したとマスコミは伝えたが、<とんでもない>ことだ。政府・与党に対する国民不安の受け皿になれなかったことを、率直に反省すべきだ。野党間共闘などのあり方を言うよりも、民進党こそが国民不安の受け皿の中心にいることを、示さなければならない。」

「連合は<暮らしの底上げ>を呼びかけ、効果を上げているが、未組織の働く人々を含め、国民全体の底上げをめざしたい」
 と強調した。



         写真㊤は、新執行部を代表しての田野辺中央執行委員長挨拶

 来賓挨拶一覧  連合・神津 里季生 会長 交運労協・高松 伸幸 事務局長 民進党・枝野 幸男 幹事長	 社民党・吉川 元 政審会長	 私鉄準組織内議員・辻元 清美 衆議院議員 民進党・福山哲郎 参議院議院  福島県・内堀 雅雄 知事 郡山市・品川 萬里 市長 全労済・阿部田 克美 常務執行役員 全国労金協会・加藤 幸博 専務理事 私鉄自治体議員団会議議長・安井 勉 今年の大会は、役員人事の交代がおこなわれた。
  阪神出身の藤井一也委員長が勇退、書記長の田野辺耕一さんが中央執行委員長に就任。新書記長には、南海出身の木村敬一さんが役を果たす。
 中執には、新たに福田英樹さん(東京地下鉄)と小松俊裕さん(東急)、宮崎功一さんが加わった。
  森屋隆さんは本部部員として、引き続き交通政策を担当する。

  



   写真でつずる83回定期大会


 ㊧㊤ 大ホールのほか会議室、温泉風呂、温水プールなどを備えた、多目的施設「郡山ユラックス熱海」。

 ㊨㊤ お馴染みの似顔絵コーナー(1千円)。漫画集団の上野さん(東武)と地元福島交通から遠藤由紀子さん、吉田武治さんが絵師を担当。70枚ほど描いた。





  
 議場後方を衝立で仕切り、教宣展コーナーをつくった。広い会場を効率よく活用した。



  
昼休みのお土産品コーナー。なんと言っても「もも」(6個入り2300円)か。地酒、ゆべし、ケーキ、饅頭なども。


 
 地元・福島交通や宮城交通の退職者会員も傍聴席に。


  
仲間入り。ちばグリーンバス・新日本観光・ちばシティーバス、鴨川日東バス各労組(関東地連)が組合旗を受ける。




                            大会宣言

 第83回定期大会は、「歴史と伝統を継承し、原点に立ち返る産別運動」をスローガンとする運動方針と、新たな執行部体制を決定した。

 7月の第24回参議院選挙では、「もりやたかし」組織内候補を擁立し、たたかいを繰り広げた。安倍自公政権の言葉巧みな誘導や、民進党への直前の合流・党名変更などもあるなかで、それぞれの組織は懸命に取り組んだものの、組織内議員を誕生させられなかったという厳しい現実を直視し、重く受け止めなくてはならない。

 しかし、私鉄総連のたたかいは、これで終わりではない。結果と課題を徹底的に総括しながら、すべてのたたかいの基本となる「組織」を、より強固なものにしなければならない。

 今大会を、福島県の磐梯熱海で開催したことは、5年前に発災した東日本大震災を風化させないという決意と意義を持つ。東北から関東の各県における広範な被害からの復旧・復興は進んでおらず、福島第一原発の事故による避難指示区域も広く残っている。私たちは、労働組合の「共助」の精神をもって、被災地支援を継続しなければならない。

 私たち公共交通に働く仲間にも、課題は山積している。地域住民の移動手段の確保、安全性と定時制、利便性などの社会的要請にくわえ、平和憲法の擁護、社会保障の充実、労働法制の改悪阻止、そして何よりも、長時間労働・低賃金を正し、家族が安心して生活できるようにしなくてはならない。したがって、たたかわなければ、改善どころか維持すらも困難となるため、労働組合に課せられた役割は重大である。

 労働組合は、組合員の団結による組織の力を持っている。1人では難しくても、私鉄総連10万人が力を合わせれば、必ずや道は開ける。そのためにも、労働運動の原点を、もう一度見つめ直す必要がある。まずは組織・職場総点検闘争に主眼をおき、全組合員が参加して、組織強化に向けた取り組みを実践する。そして、新執行部を先頭に、職場からのたたかいを構築し、春闘や交通政策の取り組みをより一層強め、私鉄産別運動を再強化し、前進させることをここに宣言する。
                                     2016年8月4日
                                     私鉄総連第83回定期大会



資料
                  第24回参議院議員選挙の結果について

                         2016年7月11日
                     私鉄総連中央執行委員会

 第24回参議院議員選挙は、私鉄総連の命運をかけた選挙として取り組んだ。しかし、結果については、組織が一丸となった選挙戦とは言いがたく、交通政策前進のために努力を重ねられた組合員、そして何よりも「もりやたかし」候補とご家族に対し、心よりお詫びを申し上げます。
 
 交通政策要求実現のために、私たち自身が「もりやたかし」候補の擁立を望み、決定したにもかかわらず、擁立後には、東奔西走する候補者本人のみに頼り、組合役員から職場に対するオルグが徹底しきれなかったことによって、職場組合員全員に対し個人名を周知しきれなかったことが、投票結果にあらわれた。

 今次選挙では、民進党は選挙区21、比例区11となり、改選議席の43議席から32議席へと議席数を減らした。社民党は改選議席2議席から1議席と減らし、共産党は改選議席4議席から6議席へと増やし、生活の党と山本太郎となかまたちは1議席を獲得した。また、自民党は56議席、公明党は14議席、おおさか維新は7議席となった。

 私鉄総連は、徹底して組織内を固める「組織選挙」として取り組んできた。しかし、第22回参議院選挙の総括をふまえ、同じ事を繰り返さない、重大な決意で「もりやたかし」参議院選挙に取り組んだが、6年経った今でも、職場組合員の政治に関する意識は変わっておらず、組合役員のみが取り組みを先行する選挙戦となってしまった。

 このような状況に鑑みれば、どのような候補者を擁立しても、私鉄総連の選挙闘争は勝利することはない。これまで「議論と実践」「決めたことは守る」というスローガンのもとに私鉄労働運動を取り組んできたが、組合組織の運営や機能が不十分であることから、方針を決めても何もできない、何もしない労働組合へと弱体化していくことの表れである。

 今後は、組織対策・強化を最優先し、今一度、職場から「私鉄労働運動」を実践できる組織に立て直さなくてはならない。
 原点に立ち返り、自らの組織を足元から総点検し、組合員の任務と役割、執行部と職場の連携強化を再構築するものとして、全組織をあげて16秋闘(組織・職場総点検闘争)に取り組み、「たたかう私鉄総連」を取り戻す。

 今回の参議院選挙において、候補者擁立の段階から関わってきた私鉄総連の判断と、選挙闘争の進め方における組織の責任は重いと言わざるを得ない。
 なお総括については、今後の組織強化・労働運動に結びつけるためにも、中央執行委員会などで十分議論をしたうえで、第1回中央委員会に提案する。

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