事務局便り


生き生きと安心して暮らせる社会をつくろう

 コロナ禍 異例、書面での総会で採択

  渡辺 幸一会長挨拶

私鉄高退協の第39回定期総会は、異例ではありますが、私鉄高退協歴史上初の「書面開催」という形で開かせていただきます。

  定期総会は、ご周知のように私鉄高退協の1年間の活動方針を議論・決定する場であると同時に1年に一度、全国の諸先輩方が一同に集い「旧交を温め合う場」でもあります。そのような大切な場であることから定期総会を東京で開く準備をしてきましたが、全国の諸先輩の皆様を新型コロナウイルス感染リスクから守るため「書面開催」にさせていただくことをご理解いただければ幸いです。
  さて、新型コロナ感染者の世界的な蔓延は労働運動や退職者の会の活動にも大きな転換を迫っています。私たちの活動はいわゆる「三密」を是として成り立ってきました。ウィズコロナの時代における組合活動や退職者の活動は、「三密」を基礎とした運動スタイルからの転換が必要となります。

  このようなウィズコロナ時代における新たな私鉄産別運動や森屋隆組織内参議院議員との連携、そして私たち私鉄高退協の活動を模索しなければなりません。そのためには、私たちの世代は苦手なのですが、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用した新たな「絆」で、私鉄高退協の運動を進めていくことも検討をしていく必要があります。

  いずれにしても、退職者連合が掲げている年金、医療、介護、子育て支援などの私たちの暮らしに欠かせない社会保障制度の維持発展など、ウィズコロナ時代でも変わらない大切な課題は山積しています。

  また、コロナ対策を理由とした安倍政権の憲法改悪の野望を許さない平和な社会を築く取り組みも必要です。
全国の私鉄高退協に結集する諸先輩の皆様、コロナ感染防止を始めご体調にはくれぐれもご自愛いただければ幸いです。
                    
2020年9月14日


【第1号議案】 私鉄高退協2020年度活動方針

1.はじめに
(1) 新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」)が地球規模で蔓延し、世界保健機関は2020年3月11日に、感染症の世界的大流行であるとの認識を表明した。この影響で各国の金融市場や実体経済は急速に収縮、国際労働機関は感染症の影響により世界で最大2500万人の失業者が増えるとする報告書を発表している。

  国内においても、2月以降、感染症が急激に拡大し、政府は4月7日に緊急事態宣言を発令したことにより、日常生活にも大きな影響を及ぼした。現在、全国で緊急事態宣言は解除されているが、米国や欧州で起きた爆発的な感染者の増加や感染症の第2波という不測の事態が起こり、経済や雇用の情勢などにさらなる深刻な影響を及ぼすことも懸念される。また、日本では、労働力人口総数に占める65歳以上の者の割合は年々増加し、高齢者就労率は非常に高い状況にある。そのため、今後も社会生活の維持と感染対策を両立させながら、感染症の根本的な解決が示されないなかでリスクを抱えたまま働かざるを得ない高齢者に対する保障や雇用を維持するための制度などを求めていく必要がある。

(2)私鉄高退協は、第34回定期総会以降、「もりやたかし」氏を必ず国政に送ることを確認し、取り組みを強化してきた結果、第25回参議院議員選挙において私鉄総連に結集する仲間として一翼を担い、悲願であった組織内国会議員を誕生させることができた。森屋隆組織内議員は、2019年8月の第199特別国会から参議院国土交通委員会委員として、バス運転士の要員不足、災害復旧、東京2020オリンピック・パラリンピック、感染症のなか交通運輸産業で働く者への対応など、課題解決に向けて私たちの声を国政へ届けている。
 
  また、2019年秋の台風19号により被災した仲間のもとへ直ちに駆けつけ、現場の視察により実態を把握し、緊急の要請行動を行ない、その結果、国土交通大臣から前向きな回答を引き出した。今後も国会内外で働く者の声・職場実態を伝えるとともに、国会議員として政策課題の解決に向けた精力的な活動が求められている。私たちは、引き続き私鉄総連とともに交通政策のさらなる推進と、誰もが平和で安心して暮らせる社会の実現のために、森屋隆組織内議員の足元をしっかりと固め、現・退一致で取り組みを進めていく。

(3)2021年3月11日で東日本大震災、福島第一原発事故の発生から10年が経過するが、いまだに約4万7千人の方々が不自由な避難生活を強いられている。しかし安倍政権は、国が設定した10年の「復興・創生期間」の終了後、岩手、宮城などは5年、福島は10年で被災者支援や復興策に「区切り」をつけるとし、被災地では必要な施策の打ち切りや大幅縮小になるのではないかという不安が広がっている。
  
  震災被害は、決して期限を区切って解決する問題ではなく、原発を推進してきた政府には、大きな責任があり、被災者に寄り添った継続的な補償と支援が必要である。福島第一原発では、3基の原子炉で溶け落ちた核燃料(デブリ)は、ほぼ手つかずのままである。放射性物質による汚染水の浄化処理、放射性廃棄物の処分場所など9年たってもなお、廃炉の行く末は見通すことができない。
  このような状況においても、政府は、原発産業の利益を優先し、原発再稼働や原発輸出に固執し続けている。エネルギー確保は、資源の少ない日本にとって大きな課題であるが、「核と人類は共存できない」ことは明らかであり、脱原発に向けた再生可能エネルギーへの転換が求められている。

(4)安倍政権は、これまで「安全保障関連法」「組織犯罪処罰法」などを強引に制定し、平和主義はもとより立憲主義そのものを破壊してきた。  

  そして、長期にわたる安倍一強政治のもとで行政は、政権への忖度を迫られ、公文書の「隠ぺい」「改ざん」を繰り返すなど、政治に対する国民の信頼は失墜している。また、安倍首相は、桜を見る会で税金を私物化し、さらには内閣の恣意による東京高等検察庁検事長の定年延長をもくろむなど、三権分立そのものが揺らいでいる。

  沖縄では辺野古新基地建設を巡って、知事選、県民投票、衆院補選と三度にわたって示された「建設反対」の民意を無視した基地建設が強引に進められている。また、与那国島・石垣島・宮古島・奄美大島、そして馬毛島など南西諸島での自衛隊新基地建設とミサイル部隊の配備が進められており、自衛隊の軍事力増強が行われている。

  さらに政府は、新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画についても停止を発表した。配備公表時から多くの問題点が指摘されるとともに、反対の声が出されてきたが、強行に配備が推し進められてきたものである。いずれにしても、地元や国民への十分な説明責任を果たさず、理解が得られないままに、強行されているものばかりであり、見過ごすことはできない。
  私鉄高退協は、立憲主義を破壊する安倍政権の暴走を止め、日本国憲法の理念を護り続け、戦争のない平和な社会づくりに取り組んでいく。

(5) 2020年4月から75歳以上の後期高齢者医療保険制度の保険料は引き上げられた。さらに後期高齢者医療費の窓口負担は、一定以上の所得者は2割負担にされようとしているなど、後期高齢者の一人当たりの医療費は極めて大きな負担増になることは避けられない。また、全世代的な雇用の不安定化に歯止めがかからないなかにおいて、第201通常国会で成立した改正高年齢者雇用安定法は、70歳までの就労確保措置として、委託契約など雇用によらない就労形態が容認されることとなっている。

  政府が描く「生涯現役社会」の姿が、超少子高齢化と不安定な年金制度などを理由に、高齢者の働き手を増やすだけという社会保障改革に終始しないよう、注視していく必要がある。
 
  2020年度の公的年金の支給額については、本来の改定率は0.3%であるが、昨年に引き続き「マクロ経済スライド」の発動(−0.1%)によって、年金の引き上げ幅は0.2%に抑制されている。公的年金は、高齢者世帯の平均所得のうち、約7割近くを占め、年金収入だけで生活している高齢者もおり、年金制度のあり方は、高齢者の暮らしに大きな影響を与えていることからも年金制度の抜本的な改革が必要である。

  私鉄高退協は、退職者連合とともに、社会保障政策の推進に向け、取り組みを強化していかなければならない。

2.2020年度日本退職者連合の取り組み

2020年7月開催予定(書類審議)の退職者連合総会で決定された方針に基づいて、以下の活動・要求を中心に協力し行動していく。

〈活動・要求の重点〉

(1)社会保障制度改革に向けた取り組み
退職者連合は、政策制度要求のいっそうの前進に向けて、定期総会で決定する「年度要求」と、通常国会に向けて「季節要求(年金、医療、介護をはじめ地域包括ケアシステムなど)」を分けて取り組み、運動展開する。私鉄高退協にとって「年度要求」などが主要課題となることから、退職者連合ならびに連合と連携を密にし、運動を広げていく。

(2)国民的運動課題への取り組み
退職者連合が提起している高齢者に大きな被害をもたらすなど社会問題化している「オレオレ詐欺などの特殊詐欺根絶に向けた取り組み」「公正な税制で社会保障の充実をはかる運動」など精力的に取り組み、社会的な共感を得られる運動として積極的に関わる。

(3)大規模自然災害からの復旧・復興
全国各地で頻発している地震や台風・水害などの自然災害により被災した地域における速やかな復興・再生を支援していく。また、避難所における感染症の蔓延など、さまざまな想定外の問題がおきることを考え、情報を共有し適切な対応がはかれるよう努めていく。

(4)平和運動の強化
 @核不拡散防止条約(NPT)に向けて、連合・原水禁・KAKKIN3団体とともに取り組む。
 A日本国憲法第9条ならびに第96条の改悪に反対する。
 B連合が取り組む「沖縄、広島・長崎、根室」の4つの平和行動に参加する。
 C沖縄の米軍普天間基地の即時閉鎖と辺野古新基地建設に反対する。
 D戦争の悲惨さを語り継ぎ、風化させないための活動に取り組む。
 E北方領土返還運動、尖閣諸島、竹島問題等については平和的解決をめざし、また、北朝鮮拉致被害者の早期帰還運動に引き続き取り組む。

(5)男女平等参画推進の取り組み
男女平等参画の問題は、現役世代から退職者世代へと継続課題であることから、連合活動と連携した取り組みを行う。地域での女性会員拡大に向け、地方の産別・関連退連へのオルグ活動実施や女性枠の拡大をはかり、各級機関への女性参加の促進に取り組む。

3.私鉄高退協の取り組み
(1)社会保障制度改革に向けた取り組み
  日本退職者連合の定期総会で決定される「年度要求」などが主要課題となることから、引き続き安定した社会保障制度を構築していくために、日本退職者連合ならびに連合と連携を密にし、諸行動などに積極的に参加するなど粘り強い運動を展開していく。

(2)平和運動の取り組み
 @「平和なくして社会保障なし」を基調に、憲法理念を擁護し、憲法改悪に反対していく。
 A憲法違反、立憲主義を無視して強行成立された「安全保障関連法」の廃止をめざす。
 B北方領土4島返還実現へ取り組む。
 C沖縄の米軍普天間基地の即時閉鎖を求めるとともに、軍事基地として機能が強化される辺野古新基地建設に反対していく。
 D太平洋戦争において日本で唯一の地上戦となった沖縄、原爆が投下された広島・長崎、日本各地で街を焦土化させる空爆が行われるなど、高齢者は悲惨な戦争を体験している。だからこそ戦争を知らない世代に、戦争の恐ろしさや虚しさを語り継ぎ、風化させぬよう「語り部」として、若い世代へ伝えていく活動に取り組む。
 E中国公船の領海侵入が懸念される尖閣諸島、竹島などの領土問題については、日本政府の主張を明確にしたうえで、外交による平和的解決を求めていく。

(3)各種大衆運動への取り組み
  連合・退職者連合が取り組む集会や国会傍聴などには、地元である関東地連高退協と連携し、可能な限り取り組みを進める。

(4)情報・宣伝活動の充実と組織拡大の取り組み
 @各地連・単組向けの「私鉄高退協ニュース」を発行し、退職者向けのニュースや情報 の提供を行う。
 A退職者連合は、組織拡大方針のなかで、現役組織との話し合いを求めている。私鉄高退協も退職した組合員に対し高退協の加盟に向けた組織づくりを、各単組に求めていく。
 B退職者連合は、男女平等参画推進の取り組みを行っている。私鉄高退協においても今後、地連・単組高退協組織において女性会員の加入拡大および諸会議(総会、親睦会、懇親会など)への女性の参加促進に向けた取り組みに努める。
 C会費は現行を維持するが、地連単位の登録人員の増加について努力する。
 D情報の共有化のため、ホームページの活用と並行し、書類による資料発行に努め、「私鉄シニアネット」を継続していく。
E「行動なくして改善なし」をスローガンに、各地域での現役組織と一体となった取り組みを行う。
  
以 上

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