


新会長 関東地連・小松清人会長が兼任
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9月27日午後、東京・芝公園のグランドホテルで、私鉄高退協第35回定期総会を開いた。北海道から九州まで、95名が参加した。
13年にわたった井田隆重会長が引退、関東地連高退協の小松清人会長が、兼任することになった。渕上貞雄さんが終身顧問に、井田隆重さんは顧問となった。
開会挨拶で井田会長は、私鉄詩人の酒井一吉さんの詩『ためされている』の一節を紹介しながら、「迷彩色に塗(まぶ)されず、闇夜にうごめくものに、きっぱりと立ち向かうのが、 私鉄総連であり、私鉄高退協でありたい」と平和への抱負を述べた(別項)。 |
田野辺新委員長は、夏の総連大会での決定をふまえた「新たな組織作り」への決意述べ、参院選の総括をしっかりやり、再出発への展望をにじませた(別項)。
渕上名誉会長は、自著の『粒々辛苦』に関連し、人口減問題と社会保障に対する課題を指摘した(別項)。
経過報告、決算、新方針、予算などは原案どうり決定。森屋たかしさんが参院選でのお礼を述べた。
特別報告では、井田会長が、年金問題について『社会保障読本』の紹介を兼ねた解説をおこなった。
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総会宣言(別項)の採択に続き、新役員を代表し、小松会長が「精いっぱい頑張る」と挨拶。ガンバロウ三唱の音頭をとって集会を締めくくった(写真)。
集会後には懇親会を開き、交流の輪をいっそう広くした。
翌日は、全員が、2016全国高齢者集会(於:文京シビックホール)に参加したが、来年の同集会は9月14日におこなうことになり、これに伴い私鉄高退協総会は、前日の9月13日に行う。 |
井田隆重会長の挨拶(要旨) |
台風17号が、台湾から中国に上陸する気配。熊本地震に次いで、今年は日本列島への台風が6個を数えた。2004年の10個に次ぐ多数。
災害にあわれた熊本・東北・北海道など、被災者への心からのお見舞いをするしだい。
7月の参議院選挙、大変残念だった。現役の私鉄総連は、12月に総括論議の予定だが、ぜひ、もう一度の挑戦を決めて欲しい。チャレンジ無くして私鉄の運動は無い。
北鉄OBの酒井一吉という詩人から「ためされている」と題した詩がとどいた。この一節を紹介。
闇がひろがる おまえはどうだ
覗かれている
聴かれている 黙するか
こっそりと宗旨替えするか
怪しまれている
謀(はか)られている ごく普通の日常が
狙われている 異常な日々に塗装されてゆくようだ
そのような時代があった おまえはどうだ
何度もくり返されてきた 迷彩色に塗(まぶ)されてゆくか
それともキッパリと
言葉に縛りがかけられて 闇夜に蠢(うごめ)くものに立ちむかうのか
行動に縛りがかけられて ためされている
思考に縛りがかけられて ためされている
獄(ごく)につながれて
ブルブルと
ふるえている
安倍総理は、昨日の臨時国会での所信表明演説で、「憲法論議」を呼びかけた。
迷彩色に塗(まぶ)されず、闇夜にうごめくものに、きっぱりと立ち向かうのが、私鉄総連であり、私鉄高退協でありたい――−そう思う。
この後、私鉄総連の田野辺新委員長挨拶が挨拶をし、その足で関西に向かう。
忙しい日程の中での貴重な時間調整に、感謝する。
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田野辺私鉄総連新中央執行委員長挨拶(要旨) |
高退協総会が盛況のうちに行われたことにお祝いを申し上げる。
福島県・常磐熱海で開いた私鉄総連大会を受け、新体制となり、委員長・書記長が交代した。執行委員も三人が入れ替わり、新たな体制となった。
第24回参議院議員選挙は、暴走する安倍政権に歯止めをかける闘いとして、全力で取り組んだ。
安倍自公政権は、安保法制の強行により、戦争のできる国へと進んでいる。憲法改悪=国民の生活を脅かす危険が広がっている。
労働者保護ルールの改悪もすすみ、年金・医療・介護など社会保障の問題が深刻化している。
安心して暮らせる社会をめざす選挙として、私鉄の森屋たかしを擁立しての選挙であった。
残念な結果であったが、高退協の皆さんには、大変お世話になり、御礼を申し上げる。
夏の第83回定期大会では、被災地支援、脱原発への運動推進、安心して暮らせる平和な社会をめざすことの意思統一をはかった。大会議論を踏まえ、産別運動を前進させる決意だ。
私鉄総連の課題について述べると――。
1.職場総点検を通じ、組織強化を図る
2.政治団体の設立、してつの全労済統一制度確立
3.平和運動、自然災害への対応、交通政策の前進に向け、政治力をつけること
が、求められる運動であり、組織が一丸となって取り組みを強めていく考えである。
最後に、井田会長の長期にわたる、ご尽力に感謝と御礼を申し上げる。そして、あらたな小松清人体制で、益々、高退協が発展・飛躍することを祈念申し上げ、挨拶とする。
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渕上名誉会長挨拶(要旨)
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皆さんお元気で参加され、何よりだ。「薬は7種類以内に」をめざし、元気で過ごしたい。
井田会長が顧問に、私が終身顧問となる人事もこの後、提案される。二人とも無事務めることができ、感謝している。
現役の私鉄総連も新体制での発足となった。私鉄の歌にあるように「一人でも泣いているものがないように」粉骨砕身で頑張ってくれることを期待したい。
これからの社会を考える時、二つの課題を重視したい。
ひとつは、社会保障の問題。年金・医療・介護が重要だが、これには人口減少問題がからむ。このまま人口減が続くと、3776年8月14日には、日本の人口が1人になる――との説がある。高齢者が長寿のうえ数が増えるのに、現役の働く者や子どもが減って行く。人口減社会の到来だ。
二つ目は、地域崩壊がある。「限界集落」という言葉があるように、地域社会が成り立たたなくなってくる心配だ。私鉄総連が地域に於いて、存在感をもてるよう、諦めず、がんばって欲しい。
そのための政治力をつけること、それが選挙闘争だ。
安倍内閣は、庶民を虐(いじ)める、社会を危うくする戦後初の内閣だ。私鉄が政治力を持つには、参議院に議席を持つことだ。今回は残念だったが、もう一度、交通政策を確立するためにも、頑張って欲しい。
私は、26歳で組合役員専従となり、51歳で参議院議員となった。73歳で参議をやめ、今回で終身顧問となる。来年3月で80歳になるが、急がず、のんびり、ゆっくりしたい。
だがまだ、隠居は早い。私鉄総連で育てられた誇りを胸に、自分の余生を社会に返すのが、これからの決意だ。
薬は、7種類以下にし、お迎えが来たらサッサと逝きたい。寝た切りは御免だ。土と太陽と水が自然の力。野菜作りにはげみたい。
お配りした著書『粒々辛苦』は井田会長との共作だが、つれずれの想いを書き留めた私の宝でもある。会長の『社会保障読本』は、わたしのオルグ用の参考本として活用している。
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総会宣言 |
東日本大震災で発生した原発事故から5年7ヵ月が経過したが、地下水汚染は止まらず、炉心溶融(メルトダウン)状況は不明のままである。このような中、多くの人々がふるさとを離れ、避難生活を強いられている。
しかし、政府は「自主避難」への無償住宅と精神的賠償を、終了させようとしている。また放射能除去など多くの課題が残されているにもかかわらず、2年間続いた「原発ゼロ」を2015年8月の川内(せんだい)原発再稼働で途絶えさせ、高浜(福井県/現在停止中)、伊方(愛媛県)と続けて稼働させた。国民の生命・財産を守るためにも、私たちは「脱原発」を実現させなければならない。
安倍政権の方針のもと、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2014年10月に基準の変更を決定し、株式の比率を24%から50%に倍増させた。
年金資産の株式運用比率が高められ、2015年度の運用損失が5兆円を超えている。少子高齢化が進んでいることから、今後、積立金の運用益を給付に充てる局面に入っている。運用に失敗し、積立金が減れば若い世代が将来受け取る年金が減額される可能性が否めない。
安倍政権は、平和憲法の理念を大きく覆し、2015年9月に「安全保障関連法」を強行採決し、3月に施行させた。戦後71年、私たちや歴代政権が守り抜いてきた「戦争をしない国」から、武力行使が可能な「戦争ができる国」になってしまった。
また平和憲法の改悪に前向きな政党に属する議員が、衆参両院で3分の2を超え、憲法改悪の発議が可能になった。
自民党改正草案では、憲法9条の改憲、「国防軍の保持」、「国民の義務や責務」が随所に明記されている。平和主義を破壊させる安倍政権の暴走を止めるために、私たち私鉄高退協は、2度と悲惨な出来事がないように、日本国憲法の理念を護り続ける運動を積み重ねていかなければならない。
私たちは、私鉄高退協に結集し、日本退職者連合をはじめとする全国の高齢者と連帯を強め、「政治の流れを変える」ことをめざし、高齢者がおかれたさまざまな諸課題解決のため、粘り強く闘うことをここに宣言する。
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2016年9月27日
私鉄高退協第35回定期総会
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